俺の妹が可愛すぎて。
「……じゃあ……ユキちゃんは…?」
「……は?」
「……ユキちゃんは……どうして、ここに来てくれたの…?」
街灯の灯りで、優花の目がキラキラしていた。
大きな瞳で俺を捉えて、
初めて見る優花の浴衣姿と、お団子頭から垂れ下がる後れ毛を見つけて…
胸がキュッて痛くなったことに、俺はまだ優花が好きなんだな…と心ん中でため息が出た。
「……先に、俺の質問に答えたら?」
「………。……ユキちゃんが、先」
答えなんか決まってる。
優花に会いたかったからだ。
透子と祭りに来ていたのにも関わらず、人混みん中で、ずっと優花を探していた。
別に今じゃなくたって、家で会えるはずなのに……
俺以外の奴に笑いかける優花が嫌で、
俺以外の奴に触れる優花が嫌で嫌で仕方なくて……
ずっと……
優花を探してた。
「……もう、いいじゃん。……この話、やめよ」
素直になんて言えるわけなくて、俺は優花の隣に腰を降ろした。
「……優花、下駄かしてみ」
そう言って、鼻緒が切れてしまった優花の下駄を手に取る。
「……どうするの?」
「……治すの。……優花、ハンカチある?」
優花は小さな籠バックからハンカチを取り出すと、俺に手渡した。
「……これ、破っちゃってもい?」
「えっ?……うん…別にいいよ?」
優花は隣で興味深々で見ている。
俺は優花から預かったハンカチを三センチ幅くらいに細く裂いた。
そして、自分の財布から五円玉を取り出して、五円玉の穴に裂いたハンカチを通した。
五円玉を下駄の穴のストッパー代わりにして、ハンカチと鼻緒を結びつけた。
簡単な応急処置をして優花に下駄を渡すと、優花の顔がパァと明るくなる。
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