俺の妹が可愛すぎて。


「……なにか、あった?」


俺を見上げる優花の表情は、なんだか少し不安そうだった。

だから、俺は少しだけ笑って返す。


「ううん。…透子、もう帰るみたい。晴が送ってくっていうから、俺らは屋台でも行こっか?」


そう言いながら、優花の籠バックを持つ。

「え、透子ちゃん帰るの……?……あ、ユキちゃん呼び出しちゃったから…透子ちゃん、怒っちゃったのかな……」


不安げに俯く優花の手を握って、立たせる。

久々に触れた優花の手は、やっぱりサラサラしていてあったかい。



「怒ってねぇよ。透子んとこ、門限あるし、もうそろそろ遅いじゃん、だから」


優花に念を押して、そう言ったけど、それでも優花は不安そうだった。

だから、俺は優花の頭をポンポンと撫でて違う話をする。


「優花、何食べたい?」

「え?……ん〜……わたあめ…?」


やっぱし、甘党……。


「は?(笑)わたあめ?それ、腹膨れんの?(笑)」


そう言いながら、俺と優花は神社の方へと歩き出す。


「……ユキちゃんは、何食べたい?」

「ん〜……焼き鳥とー……イカ焼き」

「ふふ。なんかおじさんみたい(笑)」


「マジ?すっげぇ定番じゃね?」


そう笑い合いながら、優花と話すのなんてどれぐらいぶりなんだろう。


そんな些細なことで、やっぱり優花が好きなんだと確信していく。


くしゃっと笑う笑顔とか、

眠そうになる優しい声とか、

子どもみたいな無邪気なとことか…


今まで何度も何度も感じていたのに、

久々に感じるこの感覚に、「そうそう、こういうとこが好き」「この顔好き」「
いや、もうそれ可愛すぎだから」とまた何度も何度も気づかされる。


その想いが苦しいはずなのに、優花の笑顔を見ると苦しさよりも、胸が熱くてあったかくなる。


……幸せな気持ちになる。


それが癖になるから、優花を諦めるなんてやっぱりできないのかもしれない。






< 223 / 315 >

この作品をシェア

pagetop