俺の妹が可愛すぎて。
* * *
成宮くんと話をしていて帰りが遅くなったその日……
駅から家までの帰り道で、誰かにあとをつけられている気がした。
途中途中で振り返るけど、誰もいない。
だけど、また歩き出すとあたしの歩幅と合わせた足音が背後から聞こえる。
「………」
また振り返るけど、やっぱり誰もいなくて……
怖くなったあたしは家まで走って逃げた。
家が見える角を曲がると、家の前にユキちゃんが立っていた。
あたしはユキちゃんへ向かって走った。
「……あ、優花!おっせぇな、何してたんだよ……わっ!」
そう言ったユキちゃんにあたしは身体ごと飛び込んだ。
「……どした?」
不思議そうにユキちゃんはあたしを覗き込む。
「………誰かが……あたしのあと……つけてきてる…気がして……」
走ってきたせいで呼吸がうまくできない。
「……は?マジ?……とりあえず、中入ろ」
そう言ってユキちゃんはあたしの肩を支えながら家に入るように促した。
「………成宮じゃねぇの?」
その日パパは今、出張中で家にいなくて、実里ママは仕事の送別会。
あたしが帰ってきて、リビングでユキちゃんと風馬に話すと、初めにそう応えたのは風馬だった。
「……成宮だって。……優花、この家の場所言ってないんだろ?……ついていって、家突き止めようとしてんじゃね?」
「……で…でも……成宮くんは…」
「……わかんねぇじゃん、そんなの。……優花にとってはあの頃とは違って、変わったって言ったって、本性はわかんねぇよ?」
ユキちゃんは黙ったままだった。
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