俺の妹が可愛すぎて。



沖縄に着いた途端、晴のテンションがおかしかった。


その晴のテンションは夜まで続いた。



「修学旅行の夜といえば、やっぱ恋バナ?!!♪」


ホテル別館にある露天風呂に浸かりながら、晴は大声で盛り上がる。

若干のぼせ気味の赤い顔はまるで酔っ払いみたいだった。


「……は?まくら投げじゃなくて?」


そう言うと、晴は声に出るほどの大きなため息を落とす。


「……はぁ〜あ。古いよー、まくら投げなんて。……沖縄の夜だぜ?……しっとりと、恋の話で夜空を見ながら恋焦がれるキミを想うんだよ…」

「………沖縄の夜だって…。こいつ、北海道とかでも同じこと言ってんじゃね?」


晴には聞こえないように呟くと、隣の持田がゲラゲラ笑う。


「そこっ!笑ってんじゃねぇよ!超真面目な話してんだけどっ!」


晴はそう言うと真っ直ぐに伸ばした手で持田を指差す。


マジで、今日のテンションの晴、疲れる。


明日の自由行動も、このテンションじゃついてけねぇ……。



晴が恋、恋っていうから、なんか無性に優花に会いたくなってくる……


修学旅行で同じ班だっていったって、部屋も風呂もこうして当たり前のように男女別々で離れてしまう。


家にいるときより全然会えてない気がして、なんだか少しつまらない。


こんなすぐ近くの距離で寂しく感じてたら、俺……優花と離れちゃったりしたらどうなるんだろう……。













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