俺の妹が可愛すぎて。
俺が今まで感じていた『家族』というのは、俺と母さんだけだったのだ。
だから、いきなり父さん、妹、弟っていういわゆる一般的な『家族』っていうのには、まだまだ違和感がある。
そして、なぜか怒っているのは晴だけではなかった。
「……ユキ、付き合ってる人がいるの?」
放課後の部活動最中に、サッカー部マネージャー・荒川 透子(あらかわ とうこ)が少し不機嫌な感じに訊いてきた。
彼女は、俺と晴の幼馴染。
強気な口調と仕草から、後輩からは若干怖がられている。
俺はスパイクの靴紐を直しながら、応える。
「なんだよ、透子とこにも噂広まってんの?」
ちょっと笑いも交えて言ったのに、透子は全然笑わない。
「朝、晴がなんか拗ねて私のとこに言いにきたのよ。」
あぁ、俺がイジワルしたあの時か…(笑)
「…彼女できたの?」
「……彼女じゃないよ。母さんが再婚すんの。その連れ子。昨日はたまたま駅で会っただけだよ。それを持田が見たみたいだけど。」
「……彼女でもないのに、手繋いだりするんだ?」
相変わらず笑わない透子。
なんでそんなに不機嫌になるのかわからないし…
それに、なんか何……
この尋問されているような距離感は…。
.