俺の妹が可愛すぎて。


俺の胸の中で優花が泣いていた。

俺のTシャツが濡れてしまうくらい、声を出して泣いていた。



……愛しくて愛しくて、
たまらなくなった。



「……透子と別れたのはそういう意味じゃないよ。……別の理由」


泣いてる優花を慰めるように、頭を撫でながら言った。


「……っ…別の…っ…理由…?」


くぐもった優花の声と肩にかかる熱い息。

鼻先に優花の長い髪を少しだけ埋めて、小さく呟いた。


「……なぁ、優花。……ゲームのテーマ変えよっか?」

「……なに…?」

「……『好きなもの』。……俺から先、5個言ってい?…あとで、優花も5個言って?」


そう言うと、優花は小さい声で「うん…」と言った。




優花を抱きしめながら…

俺の『好きなもの』を順番に言っていく。



「……一個目『優花の声』。


……二個目『優花の髪』。


……三個目『優花の匂い』」


三個目を言い終えた頃、優花の頭を撫でていた手を止めた。


「……四個目『優花の笑顔』」


その手で優花の頬に触れた。


「……五個目は……」


頬に触れて、俯いていた優花は潤んだ瞳で俺を見上げていた。


「………五個目は……









『泣き虫でたまに頑固な優花』」




優花の目からまた涙が溢れていた。



「……俺……



……優花が好きだよ」



ずっとずっと……


言いたくて。


でも………


言えなくて。



何度も、何度も、



諦めようとした。




ちゃんと伝わるように……


ちゃんと届くように……


優花の目を見て、


思いを、その言葉に乗せたー。












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