俺の妹が可愛すぎて。


ずっと沈黙が続いてた。


頭ん中がぐちゃぐちゃだった。



「……もし……あたしとケーゴが籍入れてたら……どうしようと思ったの…?」


しばらくして沈黙を破ったのは、母さんだった。


俺と優花が『兄妹』ではない事実を告げられた今、父さんのことを話す必要はないことだと思った。

余計……心配させてしまうのかもしれないって。


だけど、母さんとケーゴさんに知ってほしかった。


『兄妹』だと思った俺と優花が、ここまで悩んでいたことを。


そうまでして、優花と一緒にいたいんだってことを。






「………父さんと……


……暮らすつもりだった……」






そう言ったあと、また沈黙が続いた。


下を向いたまま言ったから、母さんとケーゴさんがどんな顔をしているのかわからなかった。



「………父さん……俺に会いに来たんだ。……一緒に暮らしたいって…。

……父さんの顔なんて正直写真見ないと思い出せないくらい覚えてなかったし、過ごした思い出だってない……。

……別に、この家に不満があるわけじゃない。

でも…もし優花と『兄妹』の関係がなくなるなら…この家出て父さんと暮らそうっ思ったんだ。

……それくらい、

……優花のこと、真剣に考えてんだよ」



そう言うと、ずっと黙ってたケーゴさんが話し出す。



「……ユキ……その…父さんとはいつ会ったんだ?」

「………二ヶ月前」

「………ずっと…一人で悩んでたのか?」


ケーゴさんの言葉にコクンと頷いた。


すると、急に立ち上がったケーゴさんが俺のところまで歩いてくる。



パンッ!!




「……パパッ…!」

「…ケーゴ…!」



頬に痛みが走って、ようやくケーゴさんに平手打ちされたことに気づいた。







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