俺の妹が可愛すぎて。


「……そんな大事なこと…一人で悩んでたなんて……。…どうして、実里や俺に相談しなかったんだ?!…一緒に住んでるんだから…家族だろ…?」


少し涙目で怒るケーゴさんに、俺の堪忍袋の緒はいいかげん切れた。


「…は?何が家族だよ!?籍入れてねぇんだから、あんたは別に父親でもなんでもない。……それに、大事なことを黙ってたのはそっちだろ?!わかってたら、んなことになんなかった……俺と優花の気持ちも何にも知らねぇくせに、偉そうなこと言ってんじゃねぇよ!……父親ヅラすんな…」


イライラして、ムカついて、その場にいたくなくて、逃げるようにしてリビングを出た。




バンッと思いっきり音を立て部屋のドアを閉めて、身体ごとベッドにダイブした。



ムカつく。

ムカつく。

ムカつく。

ムカつく………!!



ビンタされる筋合いなんてない。


黙ってたあっちが悪い。



ってか…風馬、全然止めに入んなかったし、あいつ……。



どこに怒りをぶつけたらいいかわかんないくらい、頭ん中はぐちゃぐちゃでイライラしてた。



しばらくベッドの上でそんなイライラと格闘していると、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。


出るつもりなんて更々ない俺は返事もしなかった。


すると、そっとドアが開いてゆっくりと歩み寄ってくる足音が聞こえる。



「……ユキちゃん……ほっぺ…痛くない…?……冷やすもの…持ってきたよ」



優花だった。

顔を背けたままだから、優花の表情はわかんないけど、少し震えた小さい声で泣きそうなんだろうなってことはわかる。



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