俺の妹が可愛すぎて。


だから……


「……そうかも」って笑って、またピンク色の優花の唇に触れようとした時ー…



振り返って、ドアの方を見ると少しの隙間から団子みたいに並んだ風馬と母さんとケーゴさんの顔が見えた。



「……なに、覗いてんだよ」


ダッシュでドアまで走って、三人を睨みつけると、今までの俺と優花の行為を見ていたのか三人とも恥ずかしそうな気まずそうな表情を見せた。


覗かれていたことに気づいた優花はもう沸騰しそうなくらい真っ赤な顔して俯いていた。


「…あっ…えっと……その……」


ケーゴさんが何とも気まずそうに話し出す。

ゴモゴモ話すケーゴさんに、母さんが「ケーゴ」と声をかける。


「あ、あの……さっきは…悪かった。……つい、カッとなってしまって…。……悪かった。…ごめん……ユキが憎くて、その……」

「……わかってるよ。……さっき、優花に話したこと、聞いてたっしょ?」


そういうと覗いてた三人は気まずそうに顔を見合わす。


「……そういうことだから。……わかってほしかっただけだから。……俺も……父親ヅラすんなとか言って、ごめん」


そう言うとケーゴさんは涙目になる。

優花の涙腺が弱いのは、父親譲りなんだなって思った。

そんなケーゴさんを見て、笑ってしまう。


「……なに、泣いてんだよ。もう、わかったから」

「…ち、違うんだ……ユキと優花に本当に辛い思いをさせてたことと…ユキが…本当の父さんのとこに行く…なんて言うから……ユキがいなくなることなんて…考えられなくて……」

「……優花みたいな女々しいこと言ってんなよ。ユキをそこまで追い込んだのは、自分がちゃんと子供らに説明してなかったからじゃん」


もうもはや号泣してるケーゴさんに、風馬が冷静に突っ込む。


冷静に突っ込む風馬と号泣するケーゴさんに、俺も母さんも優花も笑みを零した。


「……ケーゴさん、大丈夫だよ。…父さんにはちゃんと話してくるから」

「……ユキ〜……」


号泣したケーゴさんが俺に抱きついた。




本当に覚えてないほど昔、父さんに抱っこされたことだってあると思うけど、感じたことなんてなかった。


だから……


初めて触れたケーゴさんの身体が、ゴツくて堅くて…父親ってこんな感じなのかなって初めて触れた感覚に笑みが零れた。



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