俺の妹が可愛すぎて。


しばらく誰も話さなかった。

……話せなかったのかもしれない。



母さんがそんな思いで、俺の為に父さんとの離婚を決意してたんだって知らなかったから。


俺に嫌な思いはしないでねと言って、全てを打ち明けてくれた母さんに、嫌な思いどころか……場違いかもしれないけど、正直嬉しかった。


「………あたしがあなたと離婚したのは、そういう理由よ…。……もう、ユキは17歳……大人に近い歳だから、話してもよかったわよね」


涙を拭いた母さんが俺に微笑むから、俺も笑って頷いた。



「……そうだったのか…本当に……済まなかった」


そう頭を下げる父さんに、母さんは笑う。


「もう、謝らないで。……あたし、今、とっても幸せなのよ。……籍は入れてないけど、とっても素敵な『家族』に囲まれてるの。

……ちょっと頼りないけど優しいケーゴ。

……人知りだけど、ヤンチャで可愛い風馬。

……笑顔が素敵でとっても癒される優花ちゃん。


……それに、

……あたしに似て、口が悪くて優しくて、とっても頼りになるユキ。

……とっても、大切なの」


母さんはとても幸せそうに笑ってそう言った。

それを見た父さんも微笑んでいた。


「……あぁ、確かに。…今の実里はとってもいい顔してる」

「でしょ?♪」


母さんは胸を張って笑う。


「……でも、ユキはあなたの息子でもあるわ。……会いたいときは、たまに顔を見せてあげて?」


そう言うと、父さんの顔がパアッと明るくなる。


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