俺の妹が可愛すぎて。


* * *


「……だからー…違うもん…。……浮気なんかじゃない……本当に話してきただけ」


ただいま、優花を俺の部屋で尋問中。

幸い、ケーゴさんも母さんも仕事、風馬も出掛けていて、邪魔者はいない。



親に優花とのことをカミングアウトし、父さんとも話は丸く収まって、やっと優花とちゃんとした恋人同士として過ごそうとしていたある日、優花があの成宮と昨日会っていたという情報を得て、優花を問いただしていた。


情報源は風馬だった。


昨日部活が終わってから、みんなで帰ろうとしたのに、優花の姿が見当たらなかった。

風馬に訊いたところ、校門のところで成宮と話している優花を見たっていうから、部活がなかった今日、こうして優花を部屋に連れ込んで問いただしている。



「……意味わかんね。なんで成宮なわけ?」

「…違うの……成宮くんに、より戻したいって言われて……」

「……それで?」


ベッドの上に座らせて、優花の背中を壁にくっつけさせる。

優花を逃げさせないように、俺と壁で優花を囲むような形で尋問中。


「……よりは戻せないってちゃんと言ったもん。……あたしはユキちゃんと付き合ってるし、ユキちゃんしか考えられないからって」


数センチの距離で優花を見つめていると、優花は俺を真っ直ぐに見てそう言った。


別にヤキモチを妬いてるわけじゃない、いや、ちょっとは妬いたけど。


それに風馬からその場には「荒川マネも一緒にいたよ」って訊いてたから、そんなに心配はしてなかったけど、昨日帰ってきてからも俺には一言も何にも言わないし、ふっつうに「ただいま、ユキちゃん」っていつもみたいに笑うから、イジメたくなっただけ。


ちょうど、今、誰もいないし。



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