俺の妹が可愛すぎて。


「まぁ、せいぜい青春しようぜぇ♪」

「いててて〜…。」


晴の張り切りが移ったのか、明るくそう言った持田が、俺の背中に全体重をかけやがった。

ふくらはぎと背中が伸びて切れそうな痛みが走り、その痛みに悶える俺。


「あ、優花ちゃんがこっち見て笑ってる。」

「え?」


持田の体重がのしかかり、苦しそうにベンチに座る優花を見ると、持田の言うとおり、優花はこっちを見て笑っていた。

身体の硬い俺が悶えてるのが面白かったんだろう。


痛みに耐える俺はどうにか笑顔をつくって、優花に手を振ると、優花も笑顔で手を振り、『頑張って!』と口パクで言ってくれた。


「……やば、可愛すぎ…。」

「はは(笑)やっぱ、惚れてんじゃん。」


心の中で言うはずだった言葉が、思わず声に出て、そのまま突っ伏した。




* * *


「ユキちゃん、身体すっごい硬〜い。面白かった(笑)」


帰宅してからの夕食どき、話は部活動のことで盛り上がっていた。


「もう…いちいち見てんなよ。スポーツは一通り出来んのに、いつまでたっても身体だけは硬いんだよな〜。」

「そうよね〜…昔からスポーツ万能な子なのに、身体はすっごい硬いの。気の毒なくらい(笑)」


俺の向かい側に座る母さんが、そう言って笑う。

今日はケーゴさんが残業らしい。

珍しく母さんが食事の用意をしたのに、『もうケーゴのバカ、バカ。』とまた子どもみたいに拗ねていた。


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