俺の妹が可愛すぎて。
「……そういえば、風馬くん、下りてこないわね。」
母さんが風馬に「ご飯だよ。」と言いに行ってからもう10分ほど経っていた。
風馬はまだ部屋から下りてこない。
「あたし、呼んでくるね。」
優花はそう言うとパタパタと二階へ上がっていく。
優花が階段を上がっていく様子を見ながら、母さんがポツリ呟いた。
「……母さん、風馬くんに嫌われてるのかな。」
寂しそうに肉じゃがのジャガイモをつまむ。
「……人見知りなだけじゃねぇの?食事会の時だって、顔緊張してる感じだったし。」
「……そうだといいけど。」
俯きがちにそう呟く母さんは、なんだか母さんらしくない。
パタパタと走るスリッパの音がして、優花が戻ってくる。
「……ご飯、いらないって。」
「え、食ってないんだろ?」
「うん……お腹すいてないからいいって言うの。」
優花が席に座ったのとは反対に、俺は立ち上がった。
「…?…ユキちゃん?」
「俺が言ってくるわ。」
そう言って二階への階段を上がっていく。
こういう距離感が俺はキライだった。
会話らしい会話をしないとか、
目も合わそうとしないとか……。
さっき俺が母さんに言ったように、ただの人見知りかもしれない。
でもいつまでもこんな距離感じゃ、何もわからないままだと思った。
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