俺の妹が可愛すぎて。
「……俺の母さんはたった1人しかいない。
……あんたのことも、兄貴なんて思えない。そうやって俺を叱ることで、自分の立場を上にしようと思ってんだろ?
兄貴ヅラすんなよ。
人の気も知らないで、ズカズカ入ってくんなよ。迷惑。
……ただの『他人』なんだから、ほっといてくれる?」
そう言うと、風馬は俺の身体を力いっぱい押し、部屋へと出し、ドアを思いっきり閉めた。
閉められたドアの音がやけに大きく響いた気がした。
『俺の母さんじゃない。』
『兄貴ヅラすんなよ。』
『ただの他人なんだから。』
風馬の冷たい言葉が、何度も頭ん中でリピートされる。
風馬も気持ちもわかる。
今更この歳になって妹、弟が出来るなんて、俺だって変な感じだし、
そもそも、ケーゴさんのことを父さんだとも思えない。
風馬の言う通り、俺にだって父さんはただ1人しかいない。
頭のどっかで、そう思ってる。
けど母さんがあんなにも楽しそうに…あんなにも幸せそうにケーゴさんといたら、俺がそう思ってることはワガママなんじゃないかって思ったし、
母さんには本当に幸せになってもらいたいと思って、何も言わなかった。
新しい『家族』っていうのを、真っ直ぐ受け止めようと思った。
だけど……
風馬は俺の隠してた気持ちをえぐり出した。
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