俺の妹が可愛すぎて。


あれから、俺が風馬の傷をぶり返させてしまったのか…風馬は夕飯時にリビングには下りてこなくなった。

優花が風馬の部屋の前にトレーに乗せたご飯を運ぶ日々が続いた。

学校からの帰宅も遅い時間に帰ってくる。

ケーゴさんは『反抗期かな?』なんて、少し笑ってたけど…俺の気持ちは落ち着かなかった。


だからといって、風馬にヘタなこと言って風馬を傷つけるのは怖かった。








「……反抗期じゃねぇの?それに新しく家族が増えるって思春期の子には、ちょっと戸惑うっていうかさ。」


放課後のファーストフード店、人のポテトまで食いながら晴が話す。

今日は部活動が休みで、俺と優花、晴と透子で寄り道をしていた。

晴が腹が減ったと言い出し、小声で俺に『ちょっとダブルデートっぽいのしたくねっ?!』と言ったことから実現した。



「……栗原さんが弟くんと話してもダメなの?」


俺の隣に座る透子が対角線にいる優花に話しかける。


そもそも、なんで晴の隣が優花なんだろう。


「うん……『うるさい』って言って話も訊いてくれない状況…。」

「ってかさ、ユキも優花ちゃんもすぐに慣れたんだな。その新しい『家族』ってやつに。」

「……まぁ…俺は人見知りじゃねぇし、母さんが幸せそうならいいかなって。もう子供みたいにワガママなんて言えないじゃん。」


頼んだジュースで喉を潤す。

ジュースは氷が溶けて、水っぽくなっていた。








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