俺の妹が可愛すぎて。


* * *


寄り道をした日も、やっぱり風馬は帰りが遅かった。

遅いといっても、9時には帰ってきていたけど、学校が終わってから家に帰るには遅い。部活もまだ入ってないし。


ケーゴさんは『俺にもそんな時期あったしなぁ、ちょっと様子みてみよ。』って、あまり風馬にうるさく注意することはなかった。


友達とかと遊びにいってるのだろうか…



『不良になってたりして〜。』


晴の冗談で言ったであろう、あの言葉が現実になるんじゃないかって少し不安。


タバコ、酒、一番最悪なケースは、ドラッグに手を出していたら……ということ。


こうして一応『家族』なんてものになったのに、いきなりグレられると困る。


しかも……俺がああやって話してからだし…。


『仲良くいい家庭にしようね。』


酔った母さんが笑顔で話した、その言葉がだんだん離れていってる気がした。






「……晴、ごめん。今日、部活休んでい?」


放課後のざわつく教室の中、HRが終わった瞬間、俺は一番前の席の晴に声をかけた。


「へ?マジ?なんで?用事?」

「うん。どうしても行かなきゃいけないとこあるから。ごめん、先輩と先生に謝っといて!」

「了解。今度、ジュースおごれよ。」


部活休むことを言ってもらうだけのことでジュースおごるのが、あまり腑に落ちなかったが、慌てているので晴の笑顔を確認して、俺はカバンを取りに行くため、席に戻る。


「あ、優花、風馬って何組だけ?」

「え…確か、D組だと思う。」

「おっけー、ありがと!」


それだけ確認して、教室を離れようと駆け出した時……


「ユキちゃん!」


優花に呼び止められた。







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