俺の妹が可愛すぎて。
「……もしかして、風馬のあとをつけるの?」
優花がそう俺に訊いたことは的中していた。
「……うん。……晴が言ってたみたいに、不良になってたら俺の責任だし。」
「どうして?なんでユキちゃんの責任なの?」
「だって……俺が言ってからだしな。風馬が、帰り遅くなったのって。」
「だからって……ユキちゃんのせいじゃないよ。誰のせいでもないよ。」
少しだけ目が潤んだ表情の優花を見て、涙もろい子なんだなって思った。
二度目に会ったあの時も泣いてたし、
優花の母さんのこと聞かせてって言ったときも、話しだしたその途端から目が潤んでいたから。
「……あたしもついてく。」
「え?」
「……あたしの弟だもん。あたしも心配。」
優花の目は潤んでいたけど、大きな瞳で俺を見たその目に力強さも感じた。
「うん、わかった。一緒にいこ。」
そう笑って返事すると、優花も優しい笑顔で頷いた。
一年のクラスは、三階にある。
階段で風馬に会ってしまっては困るので、普段あまり生徒が使わない階段のほうから上り、影から一年D組の教室を覗く。
「あ、よかった。まだ一年、HRだな。」
廊下側の窓が少し開いていたので、中の様子がわかった。
しばらくして、ざわざわと帰宅する生徒達が廊下に出て帰って行く。
「あ、あそこに風馬いるよ。あっちの階段から降りてくみたい。」
人で溢れる廊下の中で、優花が風馬を見つけた。
風馬は、まだ新しくてピカピカの黒のスポーツバッグを肩から掛け、1人階段へと歩いて行く。
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