俺の妹が可愛すぎて。


「……ったく、ユキはよ〜。いっつも贅沢な悩みで悩んでるよな?」

「は?贅沢?」


眉間にシワを寄せ、晴を見ると、晴はぶっきらぼうな顔をする。


「他校の女子に告られちゃった〜とか、先輩に言い寄られてる〜とか」

「……なんか、全部女絡み……」

「そう!全部、女!モテねぇ奴にとっては、ほんっと贅沢な悩み!」

「……俺、別にモテねぇと思うけど」

「は?」


そう一言呟いた晴の表情は、めちゃくちゃくちゃ恐ろしくて、俺は下を向いた。


「……で?どんな子?!」


般若のような表情から、また急に表情を変え、興味深々に訊く晴。

なんか今日の晴とは話していて疲れる。


「まだ、知らない。今日、顔合わせっていうか、夜、みんなでご飯行くんだって」

「へぇ〜、楽しみだなぁ♪」

「……なんでお前がワクワクしてんだよ」

「可愛い子だったら、紹介して♪」


「……はいはい」



そう返事すると晴は鼻歌混じりにカツ丼をかき込んだ。

そんな晴の姿を見て、昨日の母さんを思い出す。


なんか、晴と母さんって似てるかも。

テンションが急に上がったり、下がったり……感情の起伏が激しいとことか。

まぁだから、晴とこれだけ友達続けてこれてるんだろうな。


「…ん?何、笑ってんの?」

「いや(笑)。…同いの子、俺のタイプだったら、やんねぇな」

「は?!ずりぃよ!」


焦る晴を見て、俺はまた笑った。





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