俺の妹が可愛すぎて。


ただ、最近風馬は俺の部屋の前をうろちょろしてることが多い。


トイレに行こうと部屋から出たら……


『わっ!』

『わぁっ!!』


ビックリしたのは二人同時で、風馬が俺の部屋の扉の前にこちらを向いて立っていた。


『な、なんだよ。ビックリさせんなよ』


ビックリしすぎて、思わず心臓を両手で抑えた。


『いや……え〜……っと……』


何やらモジモジしている。


『……いや、いいや!何でもねぇ!!』


風馬はそう言って勢いよく自分の部屋へと戻って行った。


何度かそんなことがあり、結局風馬は何も言わず逃げるようにして自分の部屋に戻る。

いったい何がしたいのかよくわからない。


「あれ……荒川と優花ちゃんじゃん」


そう言った持田の声の方へ視線を向けると、校舎からグラウンドへ歩いている二人が見えた。

体操着姿の優花を見つけた晴は、「うっおぉ〜!!」という雄叫びとともにテンションマックスになり、スキップで優花の元へと近寄る。

優花の隣にいた透子は、また迷惑そうな顔をしていた。


優花は引っ越しの時みたいに、髪を二つに結んでダボッとした体操着がまた似合っている。


晴だけではなく、グラウンドにいる男子生徒達が「天使がきた!」と騒ぐ始末。



「……ほんとに晴、優花ちゃんのこと気に入ってんだな。……いいの?このままで。」


スキップ姿の晴を見ながら、持田が俺に訊く。

持田のその表情は、なんだか面白がってるみたいに見える。



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