俺の妹が可愛すぎて。


「……なに、その笑み。面白がってんだろ?」

「……面白がってないのは、ユキでしょ?」


持田は客観的に見るからか、俺の気持ちに薄々気づいている。

晴が優花の話をする時とか、晴が優花に話しかけて優花が楽しそうにしてる姿を見る時の俺の表情が面白くなさそうなことに。


二人でボンヤリと晴の行動を眺めていると、晴と優花の二人は校舎の方へ行き、透子一人だけテクテクとこちらへ歩いてくる。


「あれ?荒川、一人だけ?晴と優花ちゃんは?ってかバレー、どしたん?」

「……バレー、負けちゃったからもう試合ないの。ヒマだから、こっち来ちゃった。晴と栗原さんは二人でジュース買いに行ったよ。」


は?


二人で〜?!


二人っきりになりやがったな、晴のやつ……超、ムカつく。

しかも、体操着姿の優花と……。


「……おい、ユキ、どこ行くんだよ!」


急に立ち上がって歩き出した俺に、持田は慌てて声をかけてきた。


「……風馬んとこ。試合してるか見てくる。なんかあったら、携帯に電話して。」


そう言って俺はその場から離れた。


どうしてかはわからない。


ただ、晴と優花が楽しそうに二人で戻ってくる姿を見たくなかったのかもしれない。






グラウンドの隅で試合してる一年のところへ行くと、木陰で友達と喋ってる風馬を見つけた。


「お〜風馬ー。」


そう声をかけると、風馬はビックリした顔をしていた。


「げっ…何やってんの?」

「『げっ』ってなんだよ(笑)風馬のサッカーしてるとこ見たくて来ちゃった。」

「……何それ。…試合負けたの?」

「負けるわけねぇじゃん。次、準々決勝。現役サッカー部をなめんなよ」


ピースサインを風馬に向けると、風馬は苦笑いした。


「えっ!!もしかして、篠原先輩っ?!」


何やら興奮気味に、風馬の隣にいた友達が俺をキラキラした目で見つめる。








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