俺の妹が可愛すぎて。


「へ?なに…こいつ、有名なの?」

「は?!お前、サッカー好きなら知ってんだろ?

篠原先輩は、サイドバックの天才で、スタミナ、スピード、テクニック、全てにおいて完璧!

しかもディフェンスのポジションでありながら、攻撃能力だって持ち合わせてるし、利き足とか関係なく、両方の足を使えるから、両サイドのポジションでもいける、すっげぇ人なんだからっ!!」


おぉ〜…

なんかすっげぇ褒められた(笑)


「お会い出来て光栄です!!僕、サッカーは見るの専門で、色んな学校の試合見てるんです!でも、やっぱ篠原先輩が一番かっこいいです!」


そう言って、興奮気味の風馬の友達に握手を求められる。

こんなに褒められることはなく、なんだか照れ臭い。


「……でも、こいつ身体超硬いらしいぜ。」


面白がっていた優花が、風馬にも話したのか、

次期キャプテンの俺としては、恥ずかしい事実を暴露される。


しばらく、そんな風に三人でサッカーの話で盛りがあってると、「ユキちゃ〜ん!」って声がした。


声の方を振り返ると、優花が小走りで走ってくる。


「げっ…優花まで来やがった」

「だから『げっ』ってなんだよ(笑)」

「…あ、栗原。今から試合だって。」

「マジ?もうちょっと休みたかったのに。」


そう言って試合へと向かう風馬に「頑張れよ」と声をかけると、「おー」と棒読みの返事が返ってきた。

息を切らしながら走ってきた優花に、俺は声をかけた。


「……どした?ジュース買いに行ってたんじゃねぇの?」

「買ってきたよ。はい、これユキちゃんの。」


そう言って優花は、いつもの笑顔で俺にスポーツドリンクを差し出した。

この為だけに、わざわざ息を切らしながら走って俺に届けてくれたのかと思うと、素直に嬉しかった。




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