俺の妹が可愛すぎて。


「……どうしたの?」


じっと優花の顔を見ていたせいか、優花はキョトンとした表情で俺を見る。


「…えっ……い、いやなんでもねぇ。あ、ってか優花は何のジュース飲んでんの?」


慌てて違う話題を振る。

優花の飲んでるジュースは、『桃イチゴ練乳ミルク』と書かれた何とも甘ったるそうなジュース。

だけどペットボトルから見える、その液体の真っピンクの色はなんだか優花にとても似合っていた。


「え、これ?『桃イチゴ練乳ミルク』。
甘いけど、意外においしいよ。」


そう言って、また一口ゴクリと飲んだ優花を見て、俺は何を思ったんだろう。


少し暑くて頭がおかしくなってたのかもしれない。そう言い訳する他ない。




「………へぇ………。


……なぁ。……一口頂戴?」




……なんてことを口走っていた。


わかってる。


言われなくてもわかってる。


その行為は、

『間接キス』だってことーーー。




口走ってしまった今となっては、もう遅い。


だけど、優花は何とも思っていないのか、「ん、いいよ。」って俺にジュースを差し出した。


俺だって普通はあんまりそういうの気にしない。

晴とか持田の飲みかけのジュースもらったりするし……


うん、そういうノリと一緒。


だから、普通に優花にも頂戴って言った。

でも、この『言ってやったぜ』感はなんなんだろう。

……晴へのあてつけだろうか。


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