俺の妹が可愛すぎて。


相当俺は腹が立っていたんだろう。


じゃなきゃ、自分からそんなこと言わない。


「ゔぅ〜……じゃあお前とチューするっ!!」


怒りと興奮で頭がおかしくなったのか、晴は俺の唇を奪おうと狙う。

ものすごく口を尖らせて俺の唇にキスしようとする晴に、俺は寒気がした。


「はっ?!ちょっ!!意味わからんっ!ちょっとっ!!近寄んな、バカっ!!」



俺はものすごい勢いで接近してくる晴のおでことほっぺを掴み、それを阻止する。


グイグイと近づく晴の唇。


俺と晴の唇との距離があと数センチとなった時、俺に救いの神が現れる。


〜〜♪


ポケットの中の携帯電話が鳴り、晴を支えていた両手をパッと離し、電話に出た。

急にパッと離してしまったことで、晴は前のめりになり、俺の後ろにあったぶっとい木に勢いよくキスをしていた。


「もしもしっ?!」

『おぉ……なんだよ、めっちゃ息切らしてない?』


電話の主は持田だった。


「……晴に唇、奪われるとこだった……」

『は?何それ(笑)ってか、そろそろ試合始まるから戻っておいでよ』

「え、マジ?わかった!」


そう返事して携帯を切り、風馬の試合を観戦してる優花を呼ぶ。


「優花ー。俺ら、そろそろ試合みたい。どうする?風馬の試合見とく?」

「じゃあ、あたしも行く〜。風馬のクラス、圧勝してるし♪」


優花が指差したスコアボードには
『7ー0』と表示されていた。

確かに圧勝……。


「じゃ、行くか。……おい、晴!いつまで木とチューしてんだよ、行くぞ」


そう言っていつまでも固まったままの晴の首もとを掴み、引っ張って引きずる。


「……松丘くん、何してたの?」


優花が不思議そうに訊く。


「……そっとしといてあげて」


晴の気持ちも尊重し、優花にはそう諭してあげた。








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