俺の妹が可愛すぎて。


俺らのクラスは、次は準々決勝。


優花が見ているから、いいとこ見せたいのは晴も同じだったみたいで、晴は念入りに柔軟をしていた。しかも、俺を睨みつけながら。


「なに、睨んでんだよ。今睨むんなら、俺じゃなくて普通相手チームだろ?」

「よく、そんなに呑気にしてられるな。優花ちゃんの唇、奪ったくせに」

「は?ジュース飲んだだけじゃん」

「間接キッスなんだぞ?似たようなもんだよ。優花ちゃんの気持ちも考えないで、よくそんな平気なことするぜ」


いつまでもブツブツ文句言いながら、プンプン怒ってる晴。ちょっと嫌気がさした俺は、先に試合コートへと入ろうとした。


「おい、ユキ!!」

「俺の敵はお前だっ!!」


振り返ると、晴がそう言いながら俺を指差していた。


「……なに、晴怒らせたの?」


持田が俺に声をかける。


「……勝手に怒ってんだよ。俺は優花のジュース飲んだだけだもん」

「……ふ〜ん。ユキだってさっき怒ってたっしょ?……恋のライバルじゃん」

「……何が恋だよ」


不適に笑う持田に俺は呆れ顔で突っ込んだ。



恋なんかじゃない………


ただ、ムカついただけ。


優花と早くどうにかなろうとする晴に、ちょっとムカついただけ……。


そんな晴にからかってやっただけ。


ちょっとイジワルしてやっただけ。


ただ、それだけ………。


優花は、だって………


『妹』だからーーー………。











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