俺の妹が可愛すぎて。


ピピーッ!!!!


試合開始の笛が鳴る。


部活の試合以上に、ドキドキするのは………



じぃ〜………。



「……相当晴、怒らせてんじゃん」


近くにいた持田が苦笑いで言う。


晴は試合が始まっても、ずっと俺を睨んでいた。


「ふん、知るか」


調子乗る晴が悪い。


俺は優花の『桃イチゴ練乳ミルク』っていうジュースが気になっただけ。

どんな味がするのか気になっただけ。


そこに、下心はない……

…………………ハズ。





ゲームは順調に進む。


さすが、運動部がいっぱいいるクラス。


「ユキちゃ〜ん!頑張れ〜!」


俺にパスが渡った瞬間、優花の声が聴こえた。


ここはサッカー部、次期キャプテンの意地の見せ所。


優花が応援してくれてる……


風馬の友達が尊敬してくれていた……



調子乗っていたのは晴じゃなくて、俺だったかもしれない。



俺は一人、ゴールに走る。

それを追いかけてきたのは晴だった。


「ユキ、パス!」


晴の声は聴こえていたが、パスは回さなかった。

晴が敵チームにマークされていたこともあるけど、俺にはきっとそれとは違う理由があったんだと思う。


「ユキっ!」


何度も晴に名前を呼ばれたが、俺は巧みに敵チームから交わしながらボールをゴールへと運ぶ。


あと、ゴールまでほんの少し。


ゴールの前の敵チームの守備からどう交わすか、どの方向から攻めるか考えていた。


そして、敵チームの守備が一歩左へ移動した瞬間を見て、俺の足が右側へと一歩前へ出た瞬間………




ドンッ!!



身体と身体がぶつかる鈍い音がグランドに響いた。



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