俺の妹が可愛すぎて。


「……お前、ほんとムカつく。…なんで、そんなにいい奴なわけ?」


言葉の最後のほうは、少しだけ震えていて泣きそうな声に聞こえた。


「……いい奴なわけないじゃん。晴の嫌がることしたんだから」


保健室の窓から吹き込む風は、昼間とは違い、心地よい優しい風だった。


「……晴、ごめんな。俺、調子乗ったわ」

「…………」

「優花みたいな可愛い妹出来て、なんとなく晴にヤキモチっていうかさ……それに、試合前に風馬の友達に尊敬してます!みたいなこと言われてさ……超調子乗ってんの、俺。……あのプレイだって最悪だったし…」

「………」

「………なんか言えよ」


黙ったままの晴に、そう言うと晴は俺に難しい質問をした。






「……お前さ……優花ちゃんのこと、好きなの?」




保健室の扉の前で決意した思いが揺れる。

ここまできて、まだ決意が揺らぐなんて俺はほんとにバカな奴だと思った。





「………好きじゃないよ。可愛いとは思うけど、『妹』としか思ってねぇよ」



真剣にマジメに嘘をつくことが、こんなにも難しいことだなんて思わなかった。


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