俺の妹が可愛すぎて。
「……ほんとか?」
「うん、マジ」
「……嘘じゃね?」
「嘘じゃねぇって、晴しつこい」
いい加減、そう笑って言うと晴も少しだけ笑ってくれた。
「……悪かったな」
「…へ?何が?」
「……ケガだよ。マジでごめん……そんなことになるなんて思わなくて……ほんとにごめん。……いくら、ユキにムカついたからって、あんなことするなんて俺、最低だ」
晴は俺と違って、すぐ感情的になる。
サッカーの試合でも敵チームに反則技してしまうこともしばしば…。(反則技は時に作戦になるときもあるけど)
長年、晴と一緒にいればそんなことも慣れっこだったけど、
でも、俺にそんな風に腹を立てたってことは晴は本当に優花が好きなんだろうなって思った。
「そんな気にすんなよ。俺だって晴の嫌がることしたんだから、おあいこだろ?」
そう言うと、晴は急にうずくまって泣き出した。
「お、おい、どうしたんだよ」
「うぅ〜〜〜……ユキ、マジでいい奴過ぎて泣けてくる…」
「あぁ……そ…」
また感情的になってる晴に苦笑いした。
俺は晴が言うようないい奴なんかじゃない。
嘘をついて、自分の気持ちを押し殺した。
……ズルい奴。
今だって素直に感情を出せる晴が羨ましい。
これからは晴の前でも、優花の前でも、
自分の気持ちにも、嘘を突き通さなければならない。
その嘘をつくことが苦しいってことに気づいたときに、初めて俺は自分の気持ちに気づいたんだ。
俺は優花を好きになっていたことにーーー。
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