俺の妹が可愛すぎて。


そうか、もうみんな来てんのか……


ケーゴさんの子供ってどんな子らなんだろ…。

ケーゴさんから何度か子供の話を訊いたことはあったけど、まさか再婚して、一緒に住むことになるなんて思わなかったから、あまり詳しくは訊いてなかった。

ってか、初対面の日から俺、遅刻って印象悪そ……。


そう考えながら、小走りで走り、食事会のレストランに着いた。


少し高そうなイタリアンのレストラン。


こんなとこだから、母さんきっともうワイン一本開けてそう…。

酒は弱いくせに、飲んだら楽しくなるからとかいう理由で酒は好きなほう。

よく家でも宅飲みして、酒飲んだテンション高い母さんの相手をさせられる。

楽しそうだから、別にいいんだけど、キス魔になるのだけは辞めてほしい。

本人は覚えてないんだろうけど、何度か襲われかけた。


『ユキ、大好き〜。チューしよ〜』

『もう、母さん飲み過ぎだって。チューは、ケーゴさんとしろって』

『ケーゴとはいつもしてるもん。なによ〜、小さい時はママ、ママって毎日してくれたのに〜』


そう言って、また子供のようにスネていじけて寝る。

そんな母さんに世話がやけるのだが、そんな母さんが好きなんだろう。

女手一つで俺を育ててくれたし、何より高校にまで行かせてくれた。


『子供がお金の心配なんてしないでよ。お母さん、これでもちゃんと働いて、お給料しっかりもらってるんだから。ユキは行きたいとこにいって、やりたいことをしなさい』


母さんはそう言ってくれた。

いつも、ガキみたいに甘えん坊な母さんの言葉とは思えなくて、すっげぇ心に残ってる。

母さんがそう言ってくれたから、俺は行きたい高校に行き、やりたいサッカーを続けてる。

ほんとに感謝しかない。


あんな母さんだけど、俺にとってはただ一人の血の繋がった家族。

チューされたって、バカと言われたって嫌いになれるはずないがなかった。






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