俺の妹が可愛すぎて。


すると、優花は「ごめんなさい、違うの」と2、3回首を横に振りながら言った。


「……ユキちゃんが、病院まで行かなきゃいけない大きなケガしちゃって…さっき持田くんが言ってたみたいに、先輩の引退試合出れないって聞いて……

ユキちゃん……辛いだろうなって思ったら、なんか悲しくて…涙出てきちゃった」


そう言うと優花はカバンからタオルを取り出し、涙で濡れた頬を拭いた。


「あぁ、そっか。心配してくれたんだ。サンキュー、優花」


優花の頭をそっと撫でた。

俺の為に泣いてくれた優花が愛しく思えた。


「大丈夫だよ。こんなケガ、ほっときゃ治るし、そんな心配しなくて大丈夫だって」


そう笑って言うと、優花も笑ってくれた。


優花が笑う度に、俺は自分の気持ちに嘘をつかなければならない。


だけど、優花が笑うのを見ないように冷たくするなんてことは絶対に出来ない。


優花を好きになんてならない……


そう決意したのに、どこまで自分の気持ちをセーブしたらいいのかわからなかった。


優花の涙と笑顔が、

俺の決心を鈍らせる。



その優花の涙の本当の意味を、


今の俺にはもちろん、わかるわけがなかった。












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