俺の妹が可愛すぎて。
そういえば優花が転校してきてから、この二人よく一緒にいるなぁ……
もともと透子は、一匹狼っていうかあまり、女友達は作らなくて、中学でも高校でもよく俺と晴とつるんでいた。
優花もまだ転校してきたばっかだし……
この二人がいつも一緒にいるのは、なんとなく自然なことなのかな。
「あ、ごめん」
「ううん、あたしこそごめんね」
ぶつかりそうになって、優花の肩に触れた右手をそっと離した。
離した瞬間に少しだけ触れた優花の髪の毛。
少しだけふわっと優しくて甘い優花の香りが鼻を掠めた。
「……もう、購買のパン全部売り切れてたよ」
隣にいた透子が呟いた。
「え、あぁ購買じゃないよ。風馬んとこ行ってくる」
「え?風馬?」
優花が首を傾げる。
「うん、風馬にサッカー部、入部してもらうように頼んでくるわ。で、次の先輩の引退試合出てもらおうと思って」
「……スカウトみたいね」
「すご〜い!絶対風馬、喜ぶよ!あ、あたしも行っていい?」
「あぁ、うん、いいよ」
そんなこんなで、俺、晴、持田、そして優花、ついでに透子と二年がゾロゾロと一年の教室に来たもんだから……
「……な、なに?俺、シメられんの?」
当の風馬は苦笑いで若干ビビっていた。
周りにいる風馬の同級生の子たちも、そう思っているのか気まずそうにチラチラとこちらを見ている。
「ちげぇよ(笑)風馬に頼みあるんだけど」
「え、なに、パシリとか…?」
まだ何かを疑っているらしい。
「……サッカー部に入部してほしいんだけど」
そう俺が頼むと、風馬はビックリした表情を見せ、その後なんだか恥ずかしそうに薄笑いした。
「な、なんだよ、急に。……ってか、俺にだって入部するかしないか選ぶ権利ってあるだろ?」
入部したくてもなかなか言い出せなかった事実を知るだけに、そう恥ずかしがりながら困ってる風馬が俺は面白くて仕方がない。
優花だって俺に小声で「ねっ?嬉しそうでしょ?」って言ってくるし。
「まぁ、無理にとは言わねぇけどさ」
やっぱり俺はイジワルしたくなって、嬉しそうな風馬を焦らす。
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