あなたが作るおいしいごはん【完】

一人になったリビングで

はぁ…っと息を吐いて座り込んだ。


私は顔や態度に出やすいし

試験期間中でもないのに

レポートと偽って

レナ店長のお店から直帰したがれば

それが何度も続けば

彼だって私の様子がおかしい事を

察知するのは当たり前かな…。


本当なら直帰せずに

ビルに立ち寄るのは決して嫌じゃない。

廊下の窓から

彼の指導の様子を眺めたり出来る。

事務所にて

彼の作ってくれたご飯を食べられる。

彼を待って一緒に帰るのも

最初のうちは照れ臭かったり

誰かに見られてないか

恋とは違うドキドキがあったけど

『…萌絵が気にする事じゃないから。』

と、言ってくれて

彼の車でマンションまでの

束の間のドライブが楽しかったりした。


…だけど今の私は

あのビルに行くのを躊躇ってしまう。


特に火曜日のこの日は

…顔を合わせるのが気まずいと

感じる人がいるから

直帰して顔を合わせないように

してしまうようになった…。



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