あなたが作るおいしいごはん【完】
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薮嶋恭平と私は1歳違いの幼馴染みで
私は『恭君』と呼んでいた。
家も目と鼻の先にある近所で
母親がいない私と靖英は
恭君の母親の寛子(ひろこ)さんに
良く世話をかけて貰っていたり
靖英はカズさん同様
恭君にもお兄ちゃんみたいに良く懐き
良く遊んで貰っていたり
恭君に可愛がって貰っていた。
近所だから
小学校も一緒に登校していたけど
私が小学校2年生の時に
恭君の父親が九州へ転勤となり
薮嶋家は家を売却して
一家で九州へ引っ越していった事で
父は最初の数年は薮嶋家と
年賀状のやり取りはあったものの
今はどちらともなく途絶えたらしく
以来、疎遠となり
私は恭君が今どこにいて
何をしているかも知らなかった。
しかし
そんな私が恭君と偶然再会したのが
彼…カズさんの料理教室のある
あのビルだった。