あなたが作るおいしいごはん【完】

***

この日は午後からの講義が休講になり

アルバイトもレナ店長の都合で

お店が臨時休業の為にお休みだった。

ビルに寄って

彼の仕事風景を見せて貰おうと

いつものようにビルに入り

エレベーターに乗ろうとした時


『…あのっ、ちょっと!!』


私は突然声をかけられた。

….えっ!?私?

驚きながら振り向くと


『…….萌絵ちゃん?
浅倉…萌絵ちゃん…だよね?』

「……。」

どこかで見た事があるような

一人の男性に声をかけられた。


『…やっぱり。
浅倉萌絵ちゃんだよね?
覚えてない?俺の事?
小さい頃…君の家の近所に…。』

『…住んでた。』と言おうとしていた

その男性の言葉を遮り

「……恭君?」

10年振りに懐かしい名前を

私は思わず呼んでいた。

『…やっぱり、萌絵ちゃんだったね。
うん!!そうだよ!!薮嶋恭平だよ!!
久しぶり!!』

疎遠になって10年近く経つのに

幼少期より背も伸びて

大人になっていたけど

笑った顔はあの頃と変わっていない


幼馴染みだった薮嶋恭平と

………私はこの日再会した。



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