あなたが作るおいしいごはん【完】
しかし
話がそこで止まっていれば
止めておけば
良かったのかもしれなかったと
気づいた時にはもう遅かった。
話を聞いて行くうちに
『…萌絵ちゃん。
今度…ウチに来てくれないかな?
オフクロに会ってやって欲しいんだ。』
「……えっ!?寛子さんに!?」
驚く私に
『…こっちに帰ってきた時から
オフクロがたまに言ってるんだ。
“萌絵ちゃんは元気にしてるかな?”
“萌絵ちゃんに会いたい。”って。
オフクロは萌絵ちゃんの事を
娘みたいに思ってたからな…。』
「……。」
『…萌絵ちゃんこの通り。
オフクロは今は落ち着いてきてるから
良かったら会って貰えないかな?』
恭君は手を合わせて私にお願いした。
「…でも、私は…。」
そう言いかけた私に
『…あっ、あの変な意味じゃなくて
別にただ会ってくれたら
それでいいだけで迷惑はかけないし
萌絵ちゃんにはただ…。
オフクロの話し相手に
なってやって欲しいんだ…。
図々しいけど、お願いだから…。』
手を合わせて私にお願いする
恭君のひっしさに
「…わかった。
私でよければ寛子さんに会うわ。
話し相手でよければ…。」
私は根負けて返事してしまった。