あなたが作るおいしいごはん【完】
数日後に
現在恭君が住んでいる自宅へ行き
寛子さんに会う約束を取り付けて
その日は別れた。
約束してしまってから
彼に何て言っていいかわからなかった。
喫茶店での出来事も
結局話せずに黙ったままだった。
今の私は彼…カズさんが好きだけど
恭君は小さい頃の私が
彼に出会う前から初めて出会っていて
初めて憧れていた男の子だったから…。
初恋と言うべきなのかどうかは
何とも言えないけれど
彼の前で幼馴染みの男性の話を
していいのかわからなかった。
やましいワケではないけれど
幼馴染みの男性に再会して
その男性は
彼の料理教室の生徒になって
その男性の自宅に行き
母親と再会する事なんて
何となく彼には
本当の事が言えずにいて
つい嘘をついてしまった。
『…私が昔お世話になった
女性の先生のお見舞いに行く。』と…。
彼は
『…気をつけて行っておいで。
その先生によろしく。』
と言ってOKしてくれた事に
私はチクリと胸が痛みながらも
結局後日恭君の自宅へ行き
母親の寛子さんと再会した。