あなたが作るおいしいごはん【完】
しかし、3回目の訪問の時
『…ねえ、萌絵ちゃん。
将来、恭平のお嫁さんに
なってやって貰えない?』
寛子さんからの言葉に
「……えっ!?」
私は目を見開き
『…なっ、オフクロ!!
何言ってるんだよ!!
萌絵ちゃんに失礼だろ!!』
恭君は慌てたように立ち上がると
『…ごめん。
萌絵ちゃん気にしなくていいから。
オフクロは勝手に言ってるだけだから。』
私に手を合わせて非を詫びた。
「…いえっ、そんな…。」
私は首を横に振ると
「…今まで黙っていてごめんなさい。
実は…私は父親同士で取り決められた
婚約者がいまして…。
卒業したら…。
私はその人と…。
結婚する事になってまして…。
だから…恭君とは…結婚出来ません。
…寛子さん、ごめんなさい!!」
私は頭を下げてお詫びした。
『………。』
寛子さんは黙ってしまった。
恭君も辛そうに私を見てる。
……胸が痛い。
本当は今までも
何となく言われるんじゃないかと
予期していたけれど
そうであって欲しくなかった事を
言われてしまった事で
言えるタイミングがなかったとは言え
今まで黙っていた事を
私は後悔し始めていた。