あなたが作るおいしいごはん【完】
「……ひっ…酷い!!
そんな理由で…あの人の料理教室に
申し込んでたなんてっ…!!」
私の頬から熱い涙が伝う。
『…あの…萌絵ちゃん…。』
私の涙にオロオロする寛子さんに対し
『…オフクロ!!何て事言うんだよ!!
いい加減にしろよ!!』
恭君も立ち上がって寛子さんに怒った。
…もう、この場にいたくない。
「…私、帰ります!!」
私はバッグを持ってリビングを抜け
急いで靴を履くと玄関を飛び出した。
バス停で駅行きのバスを待っていた
私に走って追いついた恭君は
『…ごめん!!萌絵ちゃん。
嫌な想いをさせて…。』
そう言って私に頭を下げて謝った後
顔をあげて口を開いた。
『…俺は確かにオフクロから
先生の料理教室に通えと言われた。
それは…認めるよ。
…でも俺は料理を習いたいと
思っていたのは本当だし
あの番組は見ていたから
先生の事は良く知ってたんだ。
それは…本当だよ。』
恭君は『信じて欲しい』と
言いたげな表情で私を見た。