あなたが作るおいしいごはん【完】
「…あんなに…寝耳に水の事ばかり
聞かされるなんて思わなかった。」
幼少期の頃にお世話になった
優しくてニコニコしてくれた
あの寛子さんの印象が強かった私には
あんなに衝撃を受ける話の数々と
『恭君と結婚して欲しい』なんて
言われても困惑してしまう。
そして、恭君が
彼…カズさんの料理教室を
受講した理由が……。
『…酷い。』と泣いて飛び出したけど
私も初めて訪問した際に
婚約している事を言わなかった。
そもそも、恭君と再会した時に
話していたかもどうか…。
冷静になってみれば
恭君や寛子さんばかりを
責められないのもある。
頭の中が混乱して再び涙が頬を伝った。
『…本当にごめん。
俺も…初めて聞く話ばかりで
正直言って…戸惑ってる。
…でも、迷惑をかけない約束で
来て貰ったのに、嫌な想いをさせて
本当にごめん。
オフクロ…最近は本当に
調子が良かったし
萌絵ちゃんに会えるのを
本当に楽しみにしていたんだ。
…俺も…再会出来て嬉しかった。
萌絵ちゃんは俺の初恋だったから。』
恭君は俯きながら
謝罪と私への告白を呟いた。