あなたが作るおいしいごはん【完】
そんな私に彼…カズさんからは
『…本当にどうしたんだ?
最近の萌絵…何かおかしいぞ?
本当に大丈夫か?
田宮さん経由でレナさんから
バイト先での萌絵の様子が
何となくおかしいと聞いている。
何があったのか正直に話して欲しい。
…隠し事をするなと言っただろ!!』
心配そうな表情で顔を覗き込まれた。
その綺麗な瞳に見つめられて
「……あ…。」
言葉が出そうになる。
でも、やっぱり
「…ごめんね…大丈夫だよ。」
「…心配しなくても何でもないよ。」
と、話せずにごまかしていた。
…私はどうやら顔に出やすいから
様子がおかしいなんてバレバレらしい。
本当の事を彼に話してしまえれば
絶対に楽になれるのに。
彼に嘘をついた事を謝って
助けを求めれば
彼は優しいから助けてくれるのに。
でも、やっぱり私がした事で
彼に迷惑をかけたくなくて
本当の事を言えずにいた。
…しかし
私が彼に素直に打ち明けなかった事
薮嶋親子と会う事を避け続けた事が
後にあるトラブルに
巻き込まれかける事になるとは
この時の私は思ってもみなかった。