あなたが作るおいしいごはん【完】

***この日

短大が一斉休校日だった為に

私は朝から浅倉家へと出向き

実家の掃除と洗濯を行っていた。


政略結婚による婚約で

強制的に私はこの家を出され

彼…カズさんの暮らしていた

あのマンションで同棲となった為に

今は父と靖英の父子2人だけが

この家で暮らしている。


靖英も本当は大学進学と同時に

一人暮らしをする予定だった。


しかし

『…家からでも通える大学だし
俺がいねえと、親父はきっと
マトモにメシ食わねえ気がするから
このまま家にいるよ。』

と、靖英はこのまま実家に残った。

しかも

『…カズ義兄(にい)さんが
俺にくれたレシピ本を見ながら
毎日作ってるうちに
“俺でも料理って作れるんだな。”
“料理って面白えなぁ。”って
思うようになったんだよ。』

とか

『…俺が作ったメシを
親父も“美味い。”って食ってくれるし
彼女を家に呼んで食べさせたら
“浅倉君の料理美味しい!!”って
褒めてくれるから
今じゃ、たまの週末には家で
親父と俺と彼女の3人で
俺が作ったメシを食ってるんだよ。』

と、意外な話をしてくれた事があった。






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