あなたが作るおいしいごはん【完】
『…やっと…会えたね。』
俺は君に会いたかったんだから。』
薮嶋恭平は目を細めて微笑みながら
玄関に足を踏み入れようとした。
「……どうして…ここに。
嫌!!…帰って下さい!!」
なぜ薮嶋恭平がここにいるのか
なぜ私がここにいるのがわかったのか
頭の中は戸惑いと混乱の中で
玄関に入ろうとするこの男を
何とか阻止して帰って貰おうと
私はひっしで扉を閉めようとした。
しかしこの男は
『…何だよ…その扱いは。
追い出すなんて酷いじゃないか。』
と、閉めかかった扉を強引に掴んで
逆らうように力づくで開けてしまうと
『…君が悪いんじゃないか。
君がメールをくれないから…。
あのビルに来なくなったから…。
俺を避けるから…。』
そう言いながら
強引に玄関に足を踏み入れて
後ろ手で扉を閉めると
クスクスと私に
薄気味悪い笑顔を浮かべながら
『…だから俺は
君の所在を探していたんだよ。』
と、言いながら一歩近づいて来た。