あなたが作るおいしいごはん【完】

その返答を聞いた父は

涙を流す彼に近づいて

ティッシュで涙を拭いてあげた。


『…良かったな。
お父さんが理解を示してくれて。』

『…おじさん。
ありがとうございます。』

お礼を言う彼に父は

軽く微笑みを浮かべた。


『…いや
礼を言われるような事じゃないよ。
僕は第三者的役割をしているだけだし
子どもをもつ父親としては
夢をもつ事や叶えたい意志が
すでに固まってる事は素晴らしいよ。』

そう褒めたものの

俯いた状態の秀和社長に

チラリと視線を向けると

『…でもね、僕はね
君のお父さんの
会社を継がせたかった気持ちも
わからなくはないんだ。
だから、今のままでは
お父さんはどちらかと言えば
君や僕にも裏切られて
不公平な審判を突きつけられたと
思われても仕方ない状態だと思う。
…だから、和亮君も
少しお父さんに歩み寄ってやって
みては貰えないだろうか?』

そう妙な事を言った父に

『『……?』』

押谷親子は同時のタイミングで

顔をあげた後

意味がわからずに首を傾げていた。
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