あなたが作るおいしいごはん【完】
『…靖(やす)先輩何言って…。』
『……?』
秀和社長は父の言ってる意味が
理解出来なかった。
彼も理解出来ずに黙っていた。
父は微笑みを浮かべたまま
手を伸ばしてもう一口だけ
お酒を口にした後
彼に視線を向け直した。
『…料理研究家になって
世の中の男性に料理を教えたいと言う
和亮君の夢と決意を聞けたし
秀和君も和亮君の夢を
何とか認めてくれた。
…しかし、中学生の和亮君には
酷な事を言う事になるけれど
料理研究家を正式な職業にして
100%成功するかと言えば
その通りになるとは限らない。』
『『……。』』
『…TV出演出来る程までの
レベルや素質はあると思うのに
残念ながらまだその縁に
恵まれていない子が
僕のプロデュースしている
お店の子に何人かいるし
他にも
自身でキッチンスタジオと
料理教室を開講した子もいるが
それだけでは生計を立てられずに
赤字ばかりになって
仕方なく掛け持ちして
働きながら経営危機を
脱出している子だっているんだよ。』