あなたが作るおいしいごはん【完】
普段あまり入る事のなかった彼の部屋は
デスクと本棚と
大きめのベッドが配置されている
黒を基調とした洋室で
入った瞬間
いつも彼と私が愛用している
ユニッセックス系のコロンの香りが
ほのかに鼻を掠めた。
ほぼ上半身裸の彼は
私をそっとベッドに下ろし
カーテンを閉めて部屋を暗くした。
シャツを完全に脱いで椅子にかけ
ベルトにも手をかけた彼は
一気にジーンズも脱いで
完全に上半身裸の状態となると
ベッドに膝から上がり
座っていた私と向かい合わせになった。
……ドクン…ドクン。
彼に大胆な告白をして
大胆な行動をとって
事実上誘ったのは私なのに
今こうして裸の彼を前にすると
これから起こる事に
緊張で体が硬直してきそうだった。
そんな私の様子に気づいたのか
『…萌絵、緊張してる?』
そう言った彼の手が
バスローブの紐にかかり
『…実は…俺も凄く緊張してる。』
と言いながらもシュッと解かれ
彼に着せられる前の
バスタオル姿になった瞬間
……あっ、肩が。
ふと両肩の鬱血を思い出した私は
再びあの時の光景が
頭の中でよみがえりそうになった。