あなたが作るおいしいごはん【完】

父の話に黙ったまま硬直した彼に

『…悪いね。
脅かすつもりはないんだ。
だから、そろそろ本題に移るけど
…和亮君は料理教室を開きたいと
思っているんだよね?』

『…えっ、はっ、はい。』

慌てて返事をした彼に

父はこう言った。

『…料理教室は受講生から
月謝を貰わなければやっていけない。
材料を購入する費用や
スタジオのテナント料
アシスタントの給料など
お金の問題も絡んで来る。
料理を教えるだけが優れていても
経営は成り立たない。』

『…そう…なんですか?』

『…ああ、そうだ。
経理が得意な子に
代わりにやって貰えば
済む話だと思うかもしれないが
最低限の勉強をしておいた方が
将来の自分のためにもなるから
和亮君…君はお父さんの会社の
経理や経営で働かせて貰いながら
料理研究家への道を目指しなさい。』

『…はっ!?靖先輩?』

『…えっ!?おじさん?』

父の言葉に親子の目が見開いた。

















< 21 / 290 >

この作品をシェア

pagetop