あなたが作るおいしいごはん【完】

…きっと大丈夫だと思う。

まだ彼の気持ちがわからなかった時

田宮さんとミレイさんの会話を

聞いて嫉妬したし

父の事ばかり話す彼に

卑屈な想いを感じていた。


でも、今はちゃんと彼の想いを聞けた。

彼は『好き。』と言ってくれた。

『愛してる。』と言ってくれた。

約束が早まったけど

彼に抱かれて、ハジメテを経験した。

甘く溶けるような

幸せな時間を過ごす事が出来た。


あれから私は毎晩

彼のベッドで一緒に眠るようになった。


彼に寄り添って何度もキスをして

時々抱かれて、素肌を重ねて

全身で彼を感じる度に

私の心は彼への愛でいっぱいになった。


あの嫌な出来事以来

父が弁護士を立てて

薮嶋家と慰謝料や治療費の件で

話し合いを重ねて決着した。


私と彼の前で薮嶋恭平の父親は

改めて土下座による謝罪をした。


一瞬の恐怖感も不思議な事に

『…大丈夫…そばにいるよ。』

と、彼が隣にいてくれたから

最終的にその謝罪を受け入れて

恐怖感も不思議な事に

いつしか抜けていた。

薮嶋恭平は彼の料理教室を辞めて

遠く離れた医療施設へ入所して

本格的な治療を受ける事になり

私の前から姿を消した。






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