あなたが作るおいしいごはん【完】

***

『…ところで、萌絵ちゃん。
もうすぐ20歳の誕生日よね。』

「…そうなんです!!
やっと成人の仲間入りで嬉しいです。」

飲み終えたカップを片付けながら

私はレナ店長に微笑みかけた。


そう、あと数日で私は誕生日が来る。


ギリギリ未成年者だった私は

ようやく20歳になり

成人の仲間入りをする。


今、もし彼と婚約していなかったら

何事もなく普通の短大生だったとしたら

早く20歳が待ち遠しいとは

特に思わなかったかもしれない。


でも、彼との婚約後は

20歳が待ち遠しくて仕方なかった。


それは…。

成人式の振袖への憧れは勿論

彼の隣に立っていて恥ずかしくない

大人の女性になりたくて

早く大人になって

忙しい彼をしっかり支えられる

相応しい女性になりたかったから…。


今はまだ撮られていないけど

『彼が未成年者と…。』等の

誹謗中傷や誤解を

周囲から受けて欲しくなかった事も

少しは私なりに感じていたから

凄く待ち遠しかった。
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