あなたが作るおいしいごはん【完】

『…そう……来ていないのね。

だとしたら…萌絵ちゃん…。
さっきのは…悪阻の始まりかも
しれないわ…。』

「……つ、悪阻!?」

瞬きをした私に

『…そう!!
やっぱり…そうよ、萌絵ちゃん!!

あなたはやっぱり
先生の赤ちゃんを妊娠しているのよ!!
可能性高いかもしれないわ!!』

レナ店長は心配そうだった表情から

確信を得たのか、語気が強まり

段々と笑顔になっていった。


「………赤ちゃん…ですか。」

しかし、私は店長とは真逆で

自分の置かれてる状況が

上手く整理出来ずにいた。


……妊娠……赤ちゃん。

まだ自分には

無縁の世界の言葉だと思っていた。

今のは本当に悪阻だろうか!?

本当に自分のお腹にいるんだろうか!?


黙ってしまった私に

『…まずは妊娠検査薬で
陽性反応かどうか調べた方がいいわ。

今日はもうあがっていいから
帰りに妊娠検査薬買って
家で調べてみたら?

すぐに陽性か陰性かわかるから
その結果を帰宅した先生に見せて
まずは今後の事を話し合いなさいね。』

レナ店長はそう言って

『…本当に妊娠ならおめでたいわね。』

と、私の背中を撫でながら

自分の事のように微笑みかけた。




< 219 / 290 >

この作品をシェア

pagetop