あなたが作るおいしいごはん【完】

父の提案に驚いている2人を他所に

父はさらに言葉を続けた。

『…それが一番いい方法じゃないか?
和亮君、君には
多少ハードな事かもしれないが
自分の父親が長年に渡って
積み重ねてきた事を学ぶ事は
決して無駄な事ではない。
若い時に培った苦労は必ず報われて
活かされる日は来る。
父親の仕事を手伝う親孝行な
『料理研究家押谷和亮』って言うのも
いいんじゃないかと思う。
…だから、秀和君も
和亮君が継がなくても
アルバイトとして会社を手伝って
学んで、貢献してくれるだけでも
ヨシと思ってやったらどうだ?』

すると

『…親父。
我儘言って本当にごめん。
でも、やっぱり俺は
料理研究家になりたい。
男性でも料理が好きになれるような
料理教室を開きたい。
だから…親父の会社は継げないけど
アルバイトとして
料理以外に必要な事を
親父の会社で勉強させて貰えないかな?
いつか絶対に夢を叶えて
恩返しするから…。』

彼が涙を拭いて

しっかりと秀和社長の方を向いて

決意を伝えて頭を下げた。













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