あなたが作るおいしいごはん【完】
…しかし、スタジオにいたのは
アシスタントの速水君達と
いつも早くに集合出来る
名前も知っている生徒さんが少しだけで
…肝心の彼はスタジオにはいなかった。
あれっ?彼がいない…。
まだ教室の開始時刻ではないけれど
いつもの場所にいてくれてないと
今日は何だか…不安になる。
今少しだけでも顔が見たい…。
何だか不安になりそうになる。
スタジオの扉を開ける事は出来ない。
だから、速水君に
彼の居場所を聞く事も出来ない。
本当は早く伝えたい…。
私のお腹には…。
…ねぇ…どこにいるの?
事務所かな?…それともトイレかな?
とりあえず、事務所へ行ってみよう。
事務所にいるのかもしれない。
…いて欲しい。
それなら…話せるかもしれない。
それでもいないのなら
田宮さんならきっと
居場所を知ってるはずだから
教えて貰えると思う。
事務所に近づき
ドアをノックしようとした。
しかし、いつもと違い
事務所のドアが
少しだけ開いたままになっていて
中の方から何やら
…女性の泣くような声が聞こえた。